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株主総会に行ってきました [調停・裁判]

  6月は株主総会の季節だ。私も日鉄鉱業の株主総会に参加した。通常弁護士が株主総 会に参加するといったら、顧問会社の総会対策と思われるかもしれないが、そうでは なく一株株主として、会社に「物申し」に行ったのだ。
 
  私は、1985年から、元炭鉱夫のじん肺訴訟の弁護団に参加している。真っ暗な地下 に潜って、キャップランプの明かりを頼りに石炭を掘り続けた炭鉱夫の皆さん。8時 間働いて坑道から出てきた時には、顔が石炭の埃で真っ黒になり、雨の日に傘を持ってきた妻も、自分の夫の顔が分からなかったくらい、炭鉱の空気は埃で汚れていた。
 その空気をいっぱいに吸って、肺に入った粉じんが、肺の組織に取り込まれ、肺が硬 くなって息ができなくなる病気、それがじん肺だ。一度硬くなった肺は、二度と元には戻らない。しかも仕事をやめても、埃が肺の中にあり限り、肺は反応を続ける。恐ろしい病気なのだ。
 
 じん肺を防ぐためには、埃が立たないよう水をまいたり、ダイナマイトで石炭の壁を崩したあと、埃が収まるまで、作業開始を待たなければならない。そうでなければ、作業中マスクをして、埃を吸わないようにしなければならない。そうすると生産性は落ちるし、コストがかかる。それで、石炭企業は、このような対策を取らないまま炭鉱夫を、働かせ、多くの方達がじん肺になってしまった。
 
 この企業の責任を追求し、じん肺に罹患させた責任(防塵対策を取らなかった責任)を追求したのがじん肺訴訟であり、ほとんどの企業はその責任を認めて謝罪し、二度と同様の被害を起こさないよう努力することを約束した。
 それなのに、一人日鉄鉱業のみが自社に責任はないと主張し続け、裁判で33連敗もしているのに、いまだに争い、患者さんたちを苦しめ続けている。そこで、株主になって、会社の方針を直接取締役会に正しに行ったという訳である。
  日鉄鉱業は、株主総会に社員株主やOBを動員して、株主席の主要な部分を占め、私達一株株主の発言は、1回だけと制限し、抗議をかわそうと必死だった。こんなことまでして、裁判でも認められない主張を押し通そうとする会社が、上場企業として大きな顔をしているのは、とても許せない。
原田直子
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