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日弁連意見書 「養育費支払確保及び面会交流支援に関する意見書」が出されました。 [離婚]

*養育費について*

 当事務所も、養育費について、 ① 支払義務者に、子どもへの生活扶助義務(支払義務者の生活を犠牲にしないでよい程度に子どもを援助すればよい義務)ではなく、生活保持義務(支払義務者と同等の生活を子どもにさせる義務)を課すことや、 ② 養育費の合意形成や取立てについて公的機関などを利用しやすい制度を整えて、 離婚後の親子においても、適切な扶養協力が行われることを強く求めたいと思います。  特に、母子家庭の相対的貧困率の突出した高さ、子どもの貧困とその連鎖を思う時、適切な養育費の支払確保は、国として取り組む最重要課題であると考えます。  たとえば、ヨーロッパ諸国には国による養育費立替払い制度(後に国が義務者から強制徴収)が、英米系諸国には国による養育費取立て援助制度(強力な居所・転居先調査の協力、給与天引き払い制度、刑事制裁等)があり、日本の養育費不払いへの無頓着さは、いわゆる先進諸国の中ではむしろ珍しいとも言われています。  かかる状態を早急に解消し、親の離婚に関わりなく、全ての子どもが両親の経済状況にみあった生活を維持できるようになることを望みます。


*面会交流について*

 面会交流についても、原則として離婚後であっても親子の交流が続くことが望ましいと考えますが、理念が先走りすぎて当事者に不可能を強いることがないよう、離婚直後の高緊張・高葛藤の状態にある父母への配慮、DVや児童虐待がみられるケースでの当事者の安全・平穏な生活への配慮などを含め、その家庭の現状に即した丁寧で適切な検討が進められていくことを求めます。  また、面会交流の実施にあたって、様々な当事者が利用しやすい第三者機関の拡充は不可欠と考えます。


*私達の願い*

 離婚をする夫婦の9割前後が協議離婚をしている日本では、以上のような養育費の決定や取り立て、面会交流についての相談・合意や実施手続きが、裁判所に限らず、行政機関などの当事者が利用しやすい機関において行うことができるようになることが重要と思われます。 私達は、養育費についても、面会交流についても、当事者の利用しやすい、子どもの福祉に適した制度や施設の拡充がなされていくことを期待します。


※ 今回の意見書は、平成25年11月21日に、日本弁護士連合会が、「養育費支払確保及び面会交流支援に関する意見書」として取りまとめ、11月28日に最高裁判所長官、11月29日に総務大臣、都道府県知事、12月2日に厚生労働大臣へ提出したものです。

※ 意見書提出に至る、民法改正、行政及び家庭裁判所の運用の動きなどについては、本日付け別稿「民法766条改正後の、養育費・面会交流について考えるべき課題(日弁連意見書から)」に記載をします。

※日弁連意見書
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_131121_6.pdf

(郷田真樹)
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