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残業代ゼロ法案に反対! [政治・法案]

 政府は、労働時間の規制を緩和して、働いた時間に関係なく一定の賃金を払う、つまり残業代が支払われない働き方を認める内容の法改正を準備しています。

 「残業代ゼロ」の労働を広げる案は、何年も前から、別の形で提案されては、強い反対で葬られてきました。
 今回、政府は、専門性の高い労働者や一定の高収入労働者に限定する方向で調整中のようですが、労働時間規制がなしくずしになって、一層長時間労働が横行するものとして、強い危機感を覚えます。

 労働時間については、労働基準法で1日8時間、週40時間という原則があり、労使協定を届け出た場合だけ時間外労働が認めらます。
 時間外労働の上限は法律上ありません!(行政指導の基準だけ)。
 代わりに一定の割増賃金の支払義務によって、抑制される仕組みとなっています。

 けれども、長時間労働が横行しており、国際的にも突出しています。
 その要因には、サービス残業、つまり正しく残業代が支払われていないため、抑制が効いていないという実情があります。
 確かに、以前から、上司より先に帰りにくいとか、長く残業する人が評価される等の悪しき慣行といった、人の意識の問題もありますが、対価が支払われているなら一定の抑制が働く筈です。
 やはり制度の問題、きちんと機能しないというシステムの問題が大きいのです。
 長時間労働で健康を害する事案の多くは、労働実態に見合った残業代は払われていません。
 労働実態を(敢えて)把握していなかったり、時間外手当の計算を、本来含めるべき手当等を入れず基本給だけで計算して安上がりにしていたり。

 また、現行法上の例外も問題です。時間外規制の例外として「管理監督者」が挙げられていますが、これが単なる「管理職」と誤解・悪用されている実情にあります。
 本来は、労働条件の決定を含めた労務管理について経営者と一体的な立場といえる程の、重要な職務と責任権限があって、それにそぐう実態があり、ふさわしい待遇を受けている一握りの労働者のことを指します。
 しかし、実態は、そんな地位・権限はないのに、「課長」「リーダー」等の肩書だけで、わずかな管理職手当でお茶を濁され、「管理職だから残業代がつかない」という嘘がまかりとおっています。

 8時間労働制は、元々、産業革命以後の劣悪な労働条件に対して獲得された、人間的な生活の最低限の条件でした。
 19世紀末のゼネストでは、「最初の8時間は収入のため、次の8時間は休息のため、最後の8時間は自分自身のため」と要求され、人間らしく、つまり社会や政治に参加していく上でも必要不可欠な権利だったのです。

 長時間労働は、女性の就業を阻む壁として、また少子化の要因の1つとして、その是正が強く求められています(その上、日本は、時間あたり労働生産性が非常に低くて、いいことなし~:OECD調査)。

 今、優先すべきなのは、人間らしく働くルールを守らせる仕組みづくりです。例外を広げて、一層、ルールが守れなくなるような法改正は、弊害が大きく必要ありません。


相原わかば
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