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マララさん、ノーベル平和賞受賞で思ったこと [教育]

 今年のノーベル平和賞の受賞者の一人にパキスタンの17歳の少女、マララ・ユスフザイさんが選ばれました。ご承知のとおり、マララさんは、パキスタンのタリバーン支配下の地域から、女性の教育を受ける権利を発信して、15歳のときに銃撃によって危うく命をうしなわれそうになったところを一命をとりとめ、暴力に屈せずに現在も女性の教育を受ける権利をはじめとする女性の権利について発言を続けている女性です。(マララさんの著書「私はマララ」について、当ブログで今年4月30日に郷田が書いています。http://josei-kyodo.blog.so-net.ne.jp/archive/201404-1
 
 戦争が、無知と貧困のなかから生まれてくることを考えると、彼女のノーベル平和賞受賞が、輝いて見えます。佐藤栄作氏がノーベル平和賞を受賞したときには、平和賞の価値が私のなかで最低になりましたが、これで回復しました。来年あたり、日本国憲法9条がノーベル平和賞を受賞すれば、最高ですね。

 マララさん平和賞受賞のニュースで思い出した映画があります。今年の5月にみた映画で、フランス人の監督作のドキュメンタリー、「世界の果ての通学路」です。
 4組の世界の子ども達が、「旅」と言っても過言でないような、危険と隣り合わせの通学路を通って、学校に通う姿を撮影しています。

 映画の最初は、ケニアのサバンナに住む11歳の少年ジャクソンが、土を掘って、そこからしみ出してきた水をくんで、服を洗い、飲み水をくんで家に帰るとことから始まります。
 ジャクソンは毎日6歳の妹とサバンナの中を15km、勉強道具と水の入ったタンクを持って2時間、小走りで駈け続けて学校に通います。ケニアでは毎年4〜5名の子どもが象などの猛獣に殺されているそうです。ジャクソンも、小高い丘に登っては、象などの猛獣の居場所を確認して、そこを迂回して走り続けます。それでも象と出くわして、危ういところを逃げ、妹はころび、タンクの水はこぼれてしまうという場面もありました。
 ジャクソンは、優秀で、奨学金で学校に行っているようで、英語も話せます。将来はパイロットになって、高い所から、いろいろな世界をみてみたいそうです。

 モロッコの辺境の山岳地帯に住む12歳の少女ザヒラの学校は、22Km離れた町にあり、歩いて4時間かかります。ザヒラと途中で合流した二人の少女は、毎週月曜日の早朝家を出て、歩いて学校に行き、金曜日の夕方、同じ道を通って家に帰るのです。徒歩4時間の山道は過酷です。途中で、一人の子が脚を痛めたり、ヒッチハイクを余儀なくされたりして、学校のある町にたどり着きます。少女のうちの一人がニワトリをバッグに入れて連れてきていたのですが、これをどうするのだろうと思っていたら、町で、大量のお菓子と交換していました。少女達の学校は全寮制ですから、5日間のおやつでしょうか?それとも、家に持ってかえるかしら?
 ザヒラは、学校の先生になりたいと言っていました。

 アルゼンチンのアンデス山脈の人里離れた牧場に住むカルロス11歳は、5歳年下の妹を連れて、愛馬で、18km離れた学校に、1時間30分かけて通っています。石ころだらけの山道や、滑りやすい道など、馬にとっても危険な通路です。
 カルロスは、大きくなったら、牧場で働きたいと思っています。

 インド南部の漁師町に住むサミュエルは、脚に障害があり、歩けません。学校は、4Km離れたところにあります。サミュエルの2人の弟が、オンボロ車椅子にサミュエルを乗せて、引っ張って、押して、この悪路の4キロを歩いて行くのです。途中で、車輪が土にはまり込んで動かなくなったり、ボロボロの車椅子が、壊れて修理をしてもらわなければならないはめにも陥ります。でも3人兄弟は、口げんかはしても、めげずおおらかです。弟たちは長男のサミュエルが大好きなのです。学校に着くと、同級生達が、サミュエルを抱えて教室に連れて行きます。
 サミュエルの夢は、医者になって、自分のような子どもの治療をすることだそうです。

 どの子も、本当に危険と隣あわせの通学路を、通って学校に行っています。親たちは、毎朝、子ども達の安全を神に祈って、送り出しています。このエネルギーはどこから来ているのでしょう?
 この映画をみたとき、日本の現状とのあまりの違いに、圧倒されました。
 
 マララさんのように、命がけで教育を受けている少年少女達が世界中にいるのですね。この子達は、問題があるときに、暴力で解決を図ろうとはしない、他の道を探すはずだと思います。
                       
     辻本育子
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