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マイナンバー制度とDV被害者 [DV]

 2016年1月から,マイナンバー社会保障・税番号制度が実施されることになりました。マイナンバー制度とは,住民票を有する全ての方に対し,1人1つ,12桁の個人番号を指定するというものです。法人には法人番号が指定されます。

 このマイナンバー制度は,国の行政機関や地方公共団体が保有する個人情報とマイナンバーを紐づけて効率的に管理することを目的としています。マイナンバー制度のメリットは,①国民が社会保障・税に関する手続を行う際,一部の添付書類(住民票・所得証明等)を省略することができるようになったり(国民の利便性の向上),②手続が正確で速くなったり(行政の効率化),③給付金等の不正受給を防止することができること(公平・公正な社会の実現)が指摘されています。

 しかし,マイナンバー制度は,国民が,国や地方公共団体から,社会保障の利用状況や税の納付状況を管理されてしまうというものであり,プライバシー保護等の観点からは非常に問題の多いものです。

 このマイナンバー制度の実施に先立ち,2015年10月から,住民票上の住所宛にマイナンバーが通知されることになりました。家庭内暴力(DV)に遭い,住民票上の住所とは異なる場所に住んでいらっしゃる方は,家庭内暴力の加害者に大切なナンバーを知られないようにするため,通知の送付先を変更する手続を行うことをお勧めします。

 具体的な方法としては,①お近くの役所又はインターネットで「通知カードの送付先に係る居所登録申請書」を入手し,必要事項を記入し,平成27年8月24日(月)~9月25日(金)までに住民票のある市区町村に持参又は郵送するようにして下さい。この際,添付書類として本人確認書類(運転免許証等)が必要となります。家庭内暴力で避難されている方の中には,運転免許証等を持たずに自宅を出た方もいらっしゃると思います。このような場合,「官公署から発行され,又は発給された書類その他これに類する書類であって,住所地市区町村長が適当と認める書類」で代用することができることがあります。具体的には,生活保護受給者証,健康保険の被保険者証,児童扶養手当証書等です。また,官公署から発行されたものでなくても,民間企業の社員証,学生証等で代用することができることがあります。

 この他,②現在住んでいらっしゃる場所の市区町村に出向き,「個人番号カード」の交付申請を行うという方法もあります。

 もしこれらの手続を行わず,家庭内暴力の加害者にマイナンバーを知られてしまった場合,「個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合」,ナンバーを変更してもらえることがあります。しかし,必ず変更してもらえるとは限りませんので,期間中に手続をすることをお勧めします。

(弁護士 石本恵)

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