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もっとも美しい輝きを! [子どもの権利]

 皆さんは「万華鏡」を覗いたことがありますか?今、子ども向け夏休みの宿題工作セットでも人気があります。筒の中にミラー版を貼り、ビーズやガラス片、貝殻などを入れて楽しめます。
万華鏡の楽しさは、くるくる回していると、同じ材料で、あっと驚く美しい色模様になったかと思うと、ちょっと動かすと気持ち悪い図柄になってしまったりする意外性でしょうか。何度も回して好きな色模様が光ると嬉しくなりますね。

 私が、付添人弁護士として少年鑑別所で非行、或いは非行の虞(おそれ)があるとして家庭裁判所から身柄を拘束されている少年(少女も含みます)と面会したときのことを思うと、少年たちの心は万華鏡のように思えます。皆、心の中に親の愛情、親との葛藤、友情、友人らとの葛藤、自分の得意で好きなこと、短所、あせり、思うようにならない仕事や学業、家庭の経済状況、両親の不和、たとえて言えば、光るもの、光りにくいもの、明るい色、暗い色、そんなたくさんのものを抱えています。思いもよらず、くるくると廻ってしまって、人から好まれず社会になじみにくい図柄になってしまうこともあり、なんとかちょうどよいバランスの美しい色模様になると、きらきらと将来の希望を話す顔つきになり、たたずまいもしっかりと頼もしげになります。

 何度も非行を繰り返し、世間で悪(あ)し様(ざま)に言われている少年も、決して暗い黒一色ということはありません。むしろ、周囲の援助や働きかけで、少年自身が一番落ち着けるバランスを見つけ出すと、「駄目なやつ」としか見ていない人からすればあっと驚くような輝きを発することがあるのです。
 少年鑑別所では、本当に幼い顔つきの子ども、自分の心をなかなか見せない子どもなど、たくさんの少年がそれぞれの誇りと苦しみ、譲れないこと、不安を握りしめながら、「非行」から脱しようともがいています。そんな少年達と共に、事件のこと、被害者のこと、今後の生活のことを一緒に考え、少年の思いと言葉を引き出し、仕事を探し、学校と交渉し、親とも話し合い、少年の思いを伝えるのが付添人弁護士の役割です。少年自身がもっともよく輝けるバランスを目指して、少年の伴走者として共に手続に臨みます。
 
 今、少年の立ち直りを助けるための国選付添人制度を広げる運動に日弁連や福岡県弁護士会は取り組んでいます。今月4日、福岡市内で行われた福岡県弁護士会主催(日弁連、九弁連共催)のシンポジウムには、非行を行った少年を雇用し、成長を見守っている方々や少年自身、元家庭裁判所調査官も登壇して、少年の立ち直りを支える仕組みについて話しました。地元選出の多くの国会議員や秘書の方を含めてたくさんの皆さんに付添人の役割も伝わったと思います。私もシンポジウムに参加し、改めて地域社会で共に生きる少年や雇用主、弁護士の役割を考えました。3月10日には北九州でもシンポジウムが開催されます。興味のある方は是非ご参加下さい。お知らせは以下のところに→http://www.fben.jp/whatsnew/img/fb20120310_big.jpg
(松浦恭子)
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