SSブログ

橋下徹大阪市長・日本維新の会共同代表による「従軍慰安婦」容認発言,在日米兵への風俗「活用」発言について

 数年前にナヌムの家に行った。
 かつて「従軍慰安婦」だった女性達が、身を寄せ合って、ひっそりと生活をする場所だった。
 劣悪な環境下で、連日、長時間、多数の兵士から強姦され続け、暴行を受け続ける言葉や想像を超えた毎日。その毎日は、彼女たちの心身と人格とを徹底的にたたきつぶしその人生さえも奪い去ってしまっていた。彼女たちはただ、トラウマと闘いながら、心身を労り、静かによりそって暮すほかに生きる術がないのだと感じた。
 本来あったであろう、穏やかな、気持ちの豊かな、一人の女性としての日々。永遠に失われたそれを想うと、ただ涙を流すほかに、かける言葉さえもなかった。

 同じく数年前、沖縄で、在日米軍による性犯罪被害に関する話を聞いた。
 権力や暴力をもって他者を制圧することを是とする軍隊内で、そうした価値観をたたき込まれ、日々暴力的な訓練を繰り返している兵士達が、プライベートになったからといっていきなり価値観を変え、暴力的ではない人物になることは、なかなかに難しい。結果、軍隊内の価値観や暴力的な勢いは基地外に持ち出され、一般市民がその被害を受け、大人の女性はもちろん、小学生女児までもが強姦被害にあうという歴史が繰り返されてきた。
 被害者の苦痛はもちろんとして、自分が一人の女性としてその地で生活をすること、あるいは自分の姉妹や子どもがその地で生活をすることを想像しただけで、その日々の不安はいかばかりかと思う。
 
5月13日、橋下徹大阪市長・日本維新の会共同代表は、従軍慰安婦制度が「必要なのは誰だってわかる」、「命がけで精神的に高ぶっている集団には慰安婦制度は必要だ」と発言したこと、在日米軍の管理に関して在日米軍司令官にたいして「(橋本氏が)もっと風俗業を活用して欲しいと言った」ことなどを、記者会見で述べたという。
 その想像力の欠如に、私は絶句する。
 
 戦争は、人権侵害の免罪符にはならない。
 紛争下の女性に対する性暴力については、国連安全保障理事会はもとより、世界中で大きな問題とされている。
 性風俗については、職業選択の自由を掲げる論者から、そもそもそこに選択の自由があるのかという論者まで議論のあるところであるが、少なくとも在日米軍の沖縄常駐を容認・助長する論旨において、性風俗店の利用を述べる発言は、沖縄の人びとの気持ちを踏みにじるものであり、私にとっても到底受け入れがたいものである。
 
 橋下氏が、今回の発言の撤回と謝罪をすることを強く希望する。
 ともに、この発言をきっかけとしてでも、より多くの人達の間で従軍慰安婦問題や沖縄の現状について会話が交わされ、行動が広がり、性暴力のない、一人一人の女性の尊厳が守られる社会へ向けて、一歩でも前進があればと願う。一言二言の立ち話であっても、メールやSNSであっても、その一言が一つ一つのタネとなり、草の根が広がって、社会や未来や子ども達を守るものであることを、私は信じる。
 
(郷田真樹)
nice!(0) 

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。