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釜山弁護士会との交流会① ~DV被害者支援制度~ [DV]

福岡県弁護士会の企画で釜山弁護士会との交流会に参加するため、
9月1日から2泊3日で、釜山を訪問しました。
この交流は、26年目で、毎年、福岡と釜山で交互に訪問しているのだそうです。
私は、初参加で、韓国を訪れること自体が初めてでした。
今回の交流会は、福岡県弁護士会長(原田直子弁護士)の発案で、
討論会のテーマにDV被害者支援制度や養育費制度を取り上げました。
近年、韓国では、女性活躍支援が活発化しており、この分野でも先進的な取り組みがなされているからです。

まずDVに関してご紹介します。
討論会での報告によれば、
韓国でもDVに関する法律が1997年に制定されています(日本は2001年)。
DV防止と被害者保護に関する法律だけでなく、「家庭暴力犯罪」として刑事処罰に関す法律の2つがあります。
また女性のための24時間緊急電話があり、相談、緊急避難、保護施設への入所、医療や法律、刑事手続への支援が受けられます。
新設の制度としては、被害者保護の一環として、裁判所への出席や面会交流を実施する場合の身の回りの安全措置を裁判所・検察・警察が連携して行うものがあります(2014年12月に新設)。

日中は、施設見学も行いました。     写真 3.JPG
見学先は、              
・DV被害者のシェルター
・家庭内暴力・性暴力被害のワンストップ支援センター
・家庭内暴力・性暴力被害の相談所
です。
施設はどこも、公的資金や補助金で財政基盤がしっかりしているのが印象的でした。

◎相談所
相談所は、上述の緊急電話(ホットライン)を運営する他、
DV、性暴力被害、家庭内の葛藤等について、相談・治療・回復等のプログラムを行っています。
全国25か所が連携しており、無料法律相談も行っています。
治療・回復プログラムは、医療に加え、写真・演劇・陶芸等を取り入れたものがあり、多様で各分野の専門家により行われているそうです。
相談後、必ずしも保護施設に行くケースは多くなく、在宅で支援することも多いそうです。

◎ワンストップセンター
続いて、ワンストップセンターですが、
市立病院内に設置された、24時間対応の施設で、
性暴力被害・DV・児童虐待などを対象に、医療やカウンセリング等の心理的なケア、捜査や法的手続などの助言や支援を行います。
ワンストップセンターは、被害者が、捜査過程で二次被害を受けるのを防止し、精神面を含めた負担に配慮して設置されたものです。
被害者には、国選弁護人がつけられ、
捜査や刑事裁判への同席や民事損害賠償のサポートを受けることができます。
また、陳述録画支援があり、被害者が、被害状況を何度も話さなくて済むように、捜査官がワンストップセンターに出向いて話を聞き、陳述が録画されて証拠化されます。
殺風景な警察署と違い、相談室のような場所で、休憩室などもあり、被害者への配慮が感じられます。

◎シェルター
シェルターは、DV被害者が避難して生活する施設なので、場所は秘匿され、近所にも何の施設が知られていません。
通常、団体での見学は許されていないところ、特別に許可していただきました。
外観は、普通のマンションに見え、中は明るく新しい建物でした。
トイレ・シャワー付の個室と、TVとソファー等があるくつろぎの部屋や絵本とおもちゃの部屋、本とテーブル等がある部屋など共有スペースも充実しており、心身が癒される工夫が随所にありました。写真 1.JPG
訪問時はお昼時で、入居者の女性達がキッチンでおしゃべりしながら料理していて、活気があり、
周囲で子供達が遊び、外国からの訪問客に礼儀正しく挨拶してくれ、覚えたての「コンニチワ」を嬉しそうに使っていました。
避難中も地域の学校に通え、守秘義務の誓約の上で学生等のボランティアの学習支援等が受けられるそうです。

その後の討論会では、
日本のDV対策について、身体的暴力を伴わないケース(精神的DVや性的DV等)に対して、(行政の被害者支援対策の対象であるとはいえ)特に処罰等の対策がないのか、という質問が出されました。
韓国の「家庭暴力(DV)」は、「家庭構成員間の身体的、精神的または財産上の被害を伴う行為」と定義されています。

このように、日本に比べDV支援・対策が充実している韓国ですが、
事前のリサーチによれば、鍵は、1990年代終わりからの女性活躍支援策の取り組みにあるように思われます。

日本の女性活躍支援は、少子化対策から重視され始めましたが、
韓国では、男女共同参画として広くポジティブアクション(女性の参画を促進する措置)がとられ、女性市民団体が政策決定に参画することになりました。
また、家族を包括的に支援するための健康家庭基本法(2005年)が制定されましたが、その基本計画で、「家族の全てが平等で幸せな社会」が新しい家族観として示され、
男性の家庭生活参画の支援と女性の経済活動参画がうちだされました。

韓国といえば、ジェンダーギャップ指数や男性の家事・育児時間、少子化の程度等で、日本と共に(あるいは日本以上に)下位を占めてきて、日本と同じく、男尊女卑を含めた社会の序列が厳しいのかなと言うイメージでおりましたが、
実際は、この15年程の政策転換により若い世代だけを比べると大きく変化しているそうです。

長くなってしまったので、ここで筆をおき、次回は、養育費についてご報告したいと思います。

相原わかば
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災害時のDV・性暴力〜被害をうったえることは、わがままではありません。 [DV]

「皆さんが被災して大変な時に、
 こんな家庭内のつまらない揉め事を相談する、
 私はわがままでしょうか?」(DV被害者)
 
「そこでしか生きていけないときに、
 誰にそれを語れというのですか?」(性暴力被害者)


東日本大震災
「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査報告書 に出てくる、
いたいたしい言葉です。

災害・復興時、多数の人が極限的かつ長期的なストレスにさらされ、
社会的インフラも整わないなかで、平常時であってもおこりえた、
DVや性暴力などの被害者が救済されにくくなるだけでなく、
災害による被害の増加リスクもあることが指摘されています。

たとえば、上記調査報告書には、さまざまな胸の痛む被害経験が述べられています。

避難先で物資を融通する権力のある男性に性行為を強要されても、
「いやなら、ここにいられなくなる」と言われ応じざるをえなかったうえ、
「騒いで殺されても海に流され津波のせいにされる」といった恐怖から、
「その後に誰にも言えなかった」という話。


物資を融通してもらうなら、性的に搾取をされても仕方がないと思われるためか、
他の女性から性的被害を「あたりまえだ」と言われた話。


加害男性側も辛い立場にあるためか、
男性が女性の毛布に入り込んでいても、
周囲が「若いから仕方がない」と見て見ぬふりをしてしまった話。


支援女性が、被災者から被害を受けても、ボランティアリーダーから、
「支援者ボランティアが被災者をしかり指導するとは、もってのほか」と
暴力を容認されてしまったという話。



何れも、加害者も被害者もギリギリの、平常心を維持し難い状態下での
出来事だったのかもしれません。


けれども、だからといって、
女性に対して、DVや性暴力を加えてよいわけではありません。


平常時であれ、災害・復興時であれ、女性に対する暴力は許されません。

それは個人の人権や尊厳を損なうものです。

たとえば、レイプは「魂の殺人」と言われるほどに、
被害者の人生を、一生にわたって左右するほどに、深く深く損ないうるものです。
 

また、多数の人が「レイプ」と言われて想像するような性暴力等に限らず、
何かを融通すること(物資の融通等に限らず、施設内で目立たず、いじめられず、
平穏すごせることも含む)と引きかえに、
暗に明に性的関係を求めることもまた、ひとつの性暴力です。
一見、女性がそれに同意をしているように見えたとしても、
極限状況下でのその取引は性的搾取に他なりません。


今、被災地では、たくさんの人達が、助けあい、手を取り合って、
被災地で懸命に日々をすごしています。
全国の皆さんからの温かく感動的な支援がたくさん届けられています。

そうしたなかで、どうか、DVや性暴力といった被害が発生しませんようにと、
切実に願っています。

それでも、不幸にして被害にあってしまったという方は、どうか、
「わがままかもしれない」、「仕方がないのかもしれない」などと躊躇をせず、
声をあげてください。泣き寝入りする必要はありません。


もしかしたら、混乱時した状況のなかで、
最初の相談先で適切な対応を受けられないこともあるかもしれません。

それでも、たくさんの人達が、
災害・復興時のDV・性暴力といった被害が生まれないことと、
不幸にして被害にあってしまった方が適切な相談・支援先にアクセスができて、
支援をしたいと思っていることを知って、ぜひ誰かにつながっていってください。

そして、ともに歩みながら被害を回復し、災害に加えて、さらに傷ついてしまった
あなたが、それでも、しっかりと、あなたらしい人生を取り戻していくことを、
心から願っています。

なお、こうした話をすると、
被災者・支援者等を侮辱しているのか、信頼していないのかといった
ヒステリックな意見も出されがちです。

実際、上記調査報告にも、報告者らが、
阪神淡路大震災時の経験をふりかえって、
「神戸・沖縄 女たちの思いをつないで~私たちは性暴力を許さない!」
という集会を開いたところ、
一部マスコミなどから、
「被災地で性暴力はなかった。証拠がない、全て捏造である」といったバッシングを受け、
「性暴力を許さない、と声をあげたことだけで、なぜこれほどにバッシングされるのか」と
深く傷ついた、という話がでてきます。


平常時でさえ、DV・性暴力といった気持ちの落ち込むような話に、
共感し、あるいは過去を思い出し、苦手とされる方もいらっしゃいますから、
災害・復興時にこのような文章を書くことそのものが、
DV・性暴力とは縁遠いと自認していらっしゃる多数の人達のお気持ちも含め、
傷つけ、ご不快な思いをさせるのではないかと、逡巡をしました。


けれども、平常時のDV・性暴力の発生状況からみて、
非常時にだけそれらが発生していないと考えることは不自然です。
加えて、災害復興時にこれらのリスク増加は、既に国際的な知見になりつつあります。


そうした事実を前提に、社会全体で、復興支援時においても、
災害対策(避難所運営なども含む)の様々な場面で女性を適切に参画できるようにし、
女性の目をいきとどかせると共に男女格差をなくしていく努力が、
やはり必要なのだろうと思います。


ですから、多数の人達に、考えたくないことではあるけれども、
災害・復興時にも、DV・性暴力の問題が存在し、
そのリスクは平常時よりも増加するリスクがあるという指摘を知っていただき、
女性達がそのような被害にあわないよう、互いに声をかけ、目配りをし、
そうした被害が発生しないようにお力をお貸し頂きたいと思い、
あえてこの文章を掲載することにしました。


また、もしそういう被害を耳にしたときに、
災害・復興時だから仕方がない、加害者だって大変なんだといって見過ごさず、
被害を被害として受け止めて、被害者に寄り添おうと思ってくださいますと、
本当にありがたいです。


最後に、不幸にして被害にあわれた方が1人でもいらっしゃるならば、
その方に、たとえ大変な非常時であったとしても、
あなたは被害について語る権利があるし、
医療的・精神的ケアはもちろんのこと、
行政支援や法律的支援など、必要な支援を受けるべきであるし、
それは決してわがままなことではなく、あたりまえのことです、
ということが伝わればと願っています。


あらためて、こうした文章で、ご不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、
深くお詫び申し上げます。


(弁護士・郷田真樹)
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マイナンバー制度とDV被害者 [DV]

 2016年1月から,マイナンバー社会保障・税番号制度が実施されることになりました。マイナンバー制度とは,住民票を有する全ての方に対し,1人1つ,12桁の個人番号を指定するというものです。法人には法人番号が指定されます。

 このマイナンバー制度は,国の行政機関や地方公共団体が保有する個人情報とマイナンバーを紐づけて効率的に管理することを目的としています。マイナンバー制度のメリットは,①国民が社会保障・税に関する手続を行う際,一部の添付書類(住民票・所得証明等)を省略することができるようになったり(国民の利便性の向上),②手続が正確で速くなったり(行政の効率化),③給付金等の不正受給を防止することができること(公平・公正な社会の実現)が指摘されています。

 しかし,マイナンバー制度は,国民が,国や地方公共団体から,社会保障の利用状況や税の納付状況を管理されてしまうというものであり,プライバシー保護等の観点からは非常に問題の多いものです。

 このマイナンバー制度の実施に先立ち,2015年10月から,住民票上の住所宛にマイナンバーが通知されることになりました。家庭内暴力(DV)に遭い,住民票上の住所とは異なる場所に住んでいらっしゃる方は,家庭内暴力の加害者に大切なナンバーを知られないようにするため,通知の送付先を変更する手続を行うことをお勧めします。

 具体的な方法としては,①お近くの役所又はインターネットで「通知カードの送付先に係る居所登録申請書」を入手し,必要事項を記入し,平成27年8月24日(月)~9月25日(金)までに住民票のある市区町村に持参又は郵送するようにして下さい。この際,添付書類として本人確認書類(運転免許証等)が必要となります。家庭内暴力で避難されている方の中には,運転免許証等を持たずに自宅を出た方もいらっしゃると思います。このような場合,「官公署から発行され,又は発給された書類その他これに類する書類であって,住所地市区町村長が適当と認める書類」で代用することができることがあります。具体的には,生活保護受給者証,健康保険の被保険者証,児童扶養手当証書等です。また,官公署から発行されたものでなくても,民間企業の社員証,学生証等で代用することができることがあります。

 この他,②現在住んでいらっしゃる場所の市区町村に出向き,「個人番号カード」の交付申請を行うという方法もあります。

 もしこれらの手続を行わず,家庭内暴力の加害者にマイナンバーを知られてしまった場合,「個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合」,ナンバーを変更してもらえることがあります。しかし,必ず変更してもらえるとは限りませんので,期間中に手続をすることをお勧めします。

(弁護士 石本恵)

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改正DV法スタート:交際相手からの暴力も対象になりました。 [DV]

新しい年がスタートしましたね。

1月3日、改正DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)が施行されました。

これまでDV法は、婚姻関係(内縁含む)か、元婚姻関係にあったパートナー間の暴力のみを対象としてきました。

今後は、(元)婚姻関係の有無に限らず、生活の本拠を共にする交際関係にある当事者間での暴力も、DV法の対象となります。

「生活の本拠を共にしている」という縛りはあるものの、いわゆる「デートDV」も対象となるという点で、評価できる改正だと思います。

10代、20代という早い時期に、DVが犯罪であること、男女を問わず人は人として尊重されること、身近な人を大切にすることといったことを、ごくごく当然の価値観として身につけられるような社会になればと願います。

福岡県内でも、教育機関で、早期にデートDVなどの教育を行われる動きもあるようで、とても期待しています。
もしも弁護士にできることがあれば、事務所の皆で、ぜひご協力させていただきたいと思います!。

(弁護士 郷田真樹)
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DV・貧困に苦しんでいるお母さん達へ [DV]

 今朝、TV番組で「女性の貧困」特集が放送されていました。前回の特集を放送した後、反響がとても大きかったので第二弾を組んだとのこと。

 貧困に苦しむシングルマザー達。
 仕事が見つからない→保育園に子どもを預けられない→仕事を探す時間がとれない・・そうした悪循環の中で、生活はますます困窮するばかり。
 死にたくなるときもあるけれど、子どもを残しては逝けない・・。
 どこに相談したらいいか分からない。
 お母さん達の悲痛な叫びがそこにはありました。

 そして、貧困に苦しむ女性達の多くが、配偶者からの暴力(DV)を受けた被害者であることも、また、指摘されていました。

 番組中、夫からのDVから逃れるために、子ども達を連れて着の身着のままで家を出て来た女性がいました。せめて児童扶養手当だけでも受給できたらいいけれどまだ離婚が成立していないから受給できない、と悩んでいました。

 離婚後の一人親(多くは母子)家庭は児童扶養手当の支給を受けることができます(ただし、子どもの数や所得額によって支給額は変わります)。
 それに加えて、離婚が成立していない段階でも、例えば、配偶者からの暴力(DV)で裁判所に保護命令を申し立てて発令されたら、手当を受けられる場合があります。
 
 当事務所では、保護命令手続をはじめとして、貧困やDVに苦しむ女性達が直面する様々な法的問題を取り扱っています。
 どんなささいなことでも結構ですから、お気軽にご相談ください。女性であれば夕方以降や土曜日でも相談をお受けしています。また、無料で法律相談を受けられる場合もあります。
 まずは下記までお問い合わせください。
   弁護士法人女性協同法律事務所
   TEL  092−751−8222 
   予約受付時間(平日:午前9時〜午後5時30分)
   ※ 予約はメールでも受け付けています。
    詳しくは、当事務所のホームページをご覧ください。 http://www.josei-kyodo.jp/

 柏熊志薫
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それって『デートDV』じゃないですか? [DV]

現在では、ドメスティックバイオレンス(DV)という言葉自体を全く聞いたことがないという方は少ないのではないでしょうか。でも、『デートDV』はどうでしょう。聞いたことはありますか?
DVが結婚相手(事実婚を含む)からの暴力を指すのに対して、デートDVは、交際相手からの暴力を指す言葉として使われています。

さて、ここで突然ですが、あなたの交際相手、以下のような言動に当てはまりませんか?
① 身体的暴力:叩く、殴る、蹴る、物を投げる、つねる、噛むなど。
② 精神的暴力:「ばか」、「何もできない」、「俺の言うことを聞いていればいい」などの言葉を使う、無視する、メールをチェックする(以下能動形に直す)、メールの返信が遅かったり、電話に出られなかったりすると怒る、友達との関係に干渉される、異性の連絡先を消去させられる、行動を全て報告させられるなど。
③ 性的暴力:望まない性交渉をさせられる、避妊に協力しないなど。
④ 経済的暴力:お金を貢がせる、支払をさせる、お金を貸すように迫るなど。

デートDVは、若い人の間でも多く起こっていると言われており、DVと比較してさらに問題が顕在化されにくいとされています。これらの行動は、「好きだから」とか「焼きもち」とかでごまかされることが多いのですが、愛しているからといって許されるものではありません。交際相手と話し合って、対等な関係に改善できればいいのですが、こういう相手を変えるのはとても難しいことです。DVと同様、デートDVでも、こういう行動をする相手からは、離れることが一番です。

別れを告げた後に、納得してくれない、つきまとわれるのではないか、という不安を抱えている方も少なくないと思います。こういう場合に一人で対処するのは大変危険ですし、困難ですので、すぐに信頼できる人や弁護士に相談してください。面会や交際の強要、待ち伏せ、手紙、電話、FAXなどをしつこく送ってくることなどは、ストーカー規制法において禁止される「つきまとい等」に該当します。そのような場合には、弁護士や警察から警告を与えたり、懲役や罰金を科すことができる場合もあります。

また、あなた自身がストーカー行為により受けた身体的被害、精神的な苦痛、財産上の損害などに対しては、相手に損害賠償を請求できます。

いずれの手続きも、弁護士が介入して援助することができます。弁護士が介入して「断固法的措置をとる」という態度を示すことで止むケースもあります。一人で対処するのは大変危険ですので、まずは一度ご相談ください。また、手紙やメール、会話の録音は重要な証拠になりますので、捨てずに保管して、ご相談の際には、これらを持ってきてくださいね。


(原田純子)
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夫の暴言と強い弁護士 [DV]


 長い間、夫から暴力や暴言を受けてきた方からのご相談を受けていると、共通する言葉が沢山出てきます。
 誰に食わせてもらっていると思ってるんだ
 生意気なことを言うな
 気にいらないなら子どもをおいて出ていけ
 離婚になったら、お前は経済力がないから子どもは取れない
 裁判官はお前の言うことなんか信じない
 俺は金があるから強い弁護士を雇って絶対勝つ

いかがですか。こんなこと言われていませんか?

二人で協力して家庭生活を作っているのに、お金を稼いでくるのは大変だから偉い人、家事はできて当然、それしかできないつまらない奴。三食昼寝つきなんて家事の苦労を知らない人の言葉ですね。社会全体の拝金主義と男女の役割分担意識がこんな関係を作っているのでしょう。

 でも、男の言い分が通るという世の中ではありません。いくら会社で出世していても、あるいは資格をもって成功している人でも、離婚となればただの人。裁判所では、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という憲法24条の精神にのっとって審理が行われます。

 弁護士に沢山お金を払ったから絶対勝つなんてものでもありません。高い弁護士=強い弁護士というのは、幻想です。お金があってもお金がなくても、困っている人のために全力を尽くすのが、弁護士の本分。法テラスという法律扶助制度を利用しても、十分戦えます。
 
 もっとも、離婚後の生活を考えると、財産分与である程度の金銭給付を受けた方が、安心ですね。その時は、弁護士も報酬をいただきます。でも、だからといって夫からとったお金が弁護士費用に消えてしまうなんてことはありませんから、ご安心下さい。
原田直子
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DV対策会議 [DV]

 先日、福岡県庁で開かれた、福岡県全域(福岡市・北九州市含む)を対象にしたDV問題について考える会議に出席をしてきました(いろいろな方面の各関係機関からの出席があり、私は弁護士会からの参加という位置づけで参加)。
 この種の会議に参加させていただきはじめて十数年、いつまでたっても無くならないDV問題の根深さを感じる反面、こうやって問題として問い続けることで、問題そのものの形が徐々に姿を現しつつあるような気もします。問題を解くには問題を知らねば・・・。
 最近は、DVの広報方法がよく話題になりますが、私自身が有効!と感じているのは、一部行政・女性団体が実施されているような、名刺サイズの紙に、「それはDVでは?」という自覚をうながすDVの各態様の例示と、相談先の案内を掲載したものを、女性トイレの個室に置いておくという方法。周りやパートナーの目を気にせずチラシを手にできるのが利点かなと思います。もしチラシ配布などを検討されている方がいらっしゃれば、ぜひご検討ください!(こういうところに、こういうチラシをおくと良いのでは!とった名案があればご連絡ください。もちろん他の画期的な啓発方法のアイディアも募集中です)。
 ほかに思うことは、デートDV、若年層へのDV啓発が話題として増えてきたなということ。DV=結婚している人の問題というイメージはまだまだ強いかと思いますが、中高生の交際であっても、監視・支配・暴力的言動という問題を含んでいることが多いように思います。低年齢の頃から、男性にも女性にも、DVの問題を知ってもらい、加害者を育てない、被害者を生まない社会にしていきたいなあ、と、あらためて思った次第でした。
写真.JPG
(郷田真樹)

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