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子ども手当の受給権者は? [離婚]

離婚のご相談を受ける際、すでに夫と別居して、子どもを自分が育てているのに、子ども手当が夫の口座に振り込まれたままになっているというお話をよく聞きます。
役所に別居している旨相談すると、「夫から『受給資格消滅届け』を提出してもらわないと、受取人の変更はできない。」と言われた、とのお話です。

本来、子ども手当は、子どもを現実に育てている親が受け取るべき性質のものですので、別居してご自身が子どもを育てている場合には、ご自身に受け取る権利があります。
しかし、夫にこの書類の提出をお願いしたが拒絶されたケースや、そもそも別居中の夫とそのような話ができる状態にないケースなどは、子ども手当をスムーズに受け取ることができないままになっているのです。

確かに、役所では、父、母と二重に子ども手当を支給するわけにはいかないので、窓口において、元の受給者から「受給資格消滅届け」を提出させるという取扱を行っているようです。
しかし、必ずこの書類がなければ変更手続きができないというわけではありません。
法律上は、消滅届けの提出は要求されておらず、必要であれば役所が調査をした上で、現実に子どもを育てている側に、支給するということになっているのです。
私が担当したケースでも、当初、役所の方が「受給資格消滅届けがないと変更できない」と頑なな態度を取り続けていたのですが、私の方から事情を説明した上で、速やかに変更手続きをとるようにという申し入れを書面で行ったところ、すぐに変更ができたということがありました。

2010年6月に子ども手当の支給が開始され、もうすぐ2年になろうとしています。
制度施行後から、支給が当初の予定の半額にとどまる、廃止の議論が繰り返されるなど、何かと議論の多い制度ですが、そもそもこのような現金給付自体に問題がありますよね。
子ども手当は、「子どものためのお金」と言いながら、別居して子どもを育てていない親のもとに支給が続けられ、子どものために使われないというのでは意味がありません。
現金給付ではなく、現物給付(たとえば保育園や学校にかかる費用の無償化、子どもの医療費の無償化等)にすれば、確実にその分の税金は子どものために使われますし、別居した後の子ども手当をどちらが受け取るかでトラブルになることもないのですから。

とはいえ、現実に支給される現金は小さな額ではありません。
別居後に子ども手当の支給が受けられなくてお困りの方は、お気軽にご相談ください。

また、補足になりますが、昨年10月分からの手当については、3月末までに改めて申請手続きをしないと、受給できなくなります。
厚生労働省が3月6日に発表した全国の自治体のサンプル調査では、対象世帯の3.6%が未申請となっているそうです。
今後、現行の子ども手当は廃止され、新制度に移行しますが、昨年10月からの分についてまだ申請がお済みでない方は、早急に手続きされてくださいね。

弁護士 原田純子
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