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人権侵害と闘う弁護士 [自由法曹団]

 5月某日、宮崎県で開催された自由法曹団の五月集会に行ってきました。
 自由法曹団とは、1921年に結成された弁護士の団体で、「基本的人権をまもり民主主義をつよめ、平和で独立した民主日本の実現に寄与すること」「あらゆる悪法とたたかい、人民の権利が侵害される場合には、その信条・政派の如何にかかわらず、ひろく人民と団結して権利擁護のためにたたかう」という目的をもって、各地で活動をしています。
 現在、団員数は、北海道から沖縄まで約2000名に上っています。

 毎年5月に開催される、その名も「5月集会」は、二泊三日寝食をともにしながら、各支部の活動報告や、今取り組むべき課題について意見交換を行い、団員相互の交流を深めることを目的としています
 今年の集会の大きなテーマは、原発問題と、司法修習生の給費制の問題でした。
 
 原発問題については、日本各地で、原発の再稼働を阻止するための訴訟や、放射能の恐怖に晒されながら生活をしなければならないことについての慰謝料を求める訴訟などが提起されており、その全ての弁護団で、自由法曹団の団員は中心的な役割を担っています。
 九州でも、「原発なくそう!九州玄海訴訟」という裁判が始まっています(この裁判に興味がある方はこちら→http://no-genpatsu.main.jp/)。

 原発問題について各地報告が行われる中、東北と関東の弁護士を中心に結成された「『生業を返せ!地域を返せ!』福島原発事故被害弁護団」は、裁判という手段によらずに、「損害の完全賠償」「地域的環境の全面的回復」を求めていく活動を行っている点で、異彩を放っていました。
 この弁護団では、毎週のように被災地に赴いて、被災者を対象に法律相談を行う中で、原発問題は金銭賠償だけで解決できるものではなく、被災者がふるさとや生活を取り戻し、事故以前に限りなく近い日常を取り返すことで初めて解決できるのだという確信を得られたそうです。
 活動の中心地が東北ということで、毎週のように通っている弁護士の負担はいかばかりかと感じましたが、「お金がなくても救済しなければならない人がいれば、(自由法曹)団が動かなければならない。」という団員の言葉が、心に残りました。

 司法修習生の給費制問題も大変興味深かったのですが、書き出すと長くなりそうなので、またの機会にアップします。
 
 5月集会では、日々の慌ただしさの中で忘れてしまいがちな、自分が弁護士を目指した時の真っ直ぐな気持ちを思い出すことができました。
 何十年にも亘って人権擁護に取り組んでこられた団員のお話を聞いたことを、今後の弁護士人生の糧にしたいと思います。

(中西俊枝)

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